歴史は繰り返す
よくいわれることですが、歴史は繰り返します。
今日の本はこれ。
全体の感想としては、過去の出来事について紹介したうえで、いまの時代だとこの考え方に近いねって話が随所にありまして、読んでいておもしろかったです。
やはり過去の情報をただ紹介するだけではつまらないですよね。いまとの比較や、これからどうなっていくのか、といった視点を入れられると良いです。
内容としては、証券市場について江戸期から始まり、どう変遷をしてきたか、ということが語られた本です。
個人的に特に印象に残ったポイントを書いてみます。
江戸からあった証券市場
江戸の大坂の米市場について詳しく書かれていましたが、まさに証券市場でした。例えば、米切手という証券が発行されて、先渡し取引など行われており、デリバティブの考え方がすでにそこにあったようです。うむ、すごい。
実際の米がないのに米切手を発行しまくって破綻した久留米藩の話もありました。これは現代で言うと銀行の取付騒動みたいなものです。
本間宗久というドラマ
山形の商人の話がとてもおもしろかったです。
本間宗久といい、山形にて大坂の米市場の情報をいち早く知って、大儲けしました。手法としては、早飛脚を雇っていたようです。当時は電話なんてないので、大坂の米の価格情報は、飛脚を走らせたり、晴れているときには旗振りの合図によって、全国に伝えられていたようです。
興味深いですね。飛脚はどんな気持ちで走っていたのだろうか。個人的には米の値段を知らせるために走りたくないなぁ。でも当時はかなり大事な情報だったのだろう。
ここまでだと、情報をいち早く集めて投機的な取引をしてそうな感じですが、違います。ファンダメンタルな方法で投資をやっていました。具体的には、米の作付けや需給のチェックなど、怠っていなかったようです。
やっぱりこういう人って儲けますよね。納得です。やはり自分で動いて情報を集め、頭を使って分析して、ためらわずにアクションを起こすというのは、いつの時代においても必要とされる能力なのだと思います。
その後もドラマがあり、江戸に出た本間宗久は、商売に失敗します。原因としては江戸の市場は山形とは違って、大勢の人間の心情で相場が動くことが多かったからのようです。
そこで大勢の心情の大切さを胸に、大坂で商売を行い、成功しましたって話です。
よいドラマ。
その他
明治になってからは、政府から元武士に渡す分を証券化したり、証券取引所の危機のときに東北の七十七銀行が助けたり、他にもいろんなドラマがあって、いまの証券の仕組みができているのだなぁと実感しました。
証券取引所の活気について具体的に記載されている箇所もありました。私も投資やっていますが、いまはネットでサクッと売買できるようになった分、そういった活気みたいな人間らしさ、楽しさというのが失われたのではないか、とも感じました。
なんか一周回って、再び熱狂する証券取引所もこれから出てきてもおかしくないと思うのです。非効率的だけど、楽しいもの。
最後に
ということで、投資に興味がある人は特におすすめです。投資に興味はなくても教養として歴史を知っておきたい人にもおすすめ。
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