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宴のあと
みなさん、こんにちは。減さん、損さんです。
さて、減損というのは何とも悲しいもので、いまもっている資産について、将来カネを生まないことがわかってしまい、簿価を下げる、という処理です。
つまり、過去の投資の失敗を認めるようなものなので、とても勇気がいります。
まさに、宴のあとのような虚無感です。
でもいい意味でとらえると、過去の過ちを認め、反省を踏まえてこれから前向きに改善策を打っていくと考えると、必ずしも悪いとは言えませんね。
ということで、今回は減損後の処理について。減損会計基準の適用指針を使って、読み解いていきます。
PDFはこちら。固定資産の減損に係る会計基準の適用指針
減損後の償却方法は?
適用指針の135項より。要は普通の資産と同じです。シンプル。
減損処理を行った資産についても、通常の資産と同様に、企業が採用している減価償却の方法に従って、減損損失を控除した帳簿価額と残存価額、残存耐用年数に基づき減価償却を行う(第 55 項参照)。
減損後の耐用年数は?
経済的残存使用年数となります。
その詳しい説明は減損会計基準適用指針の21項です。
資産又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数は、当該資産が今後、経済的に使用可能と予測される年数と考えられ、対象となる当該資産の材質・構造・用途等の物理的な要因のほか、使用上の環境、技術の革新、経済事情の変化による陳腐化の危険の程度、その他当該企業の特殊的条件も検討し、見積られることとなる(第 99 項参照)。
なお、資産又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数が、当該資産の減価償却計算に用いられている税法耐用年数等に基づく残存耐用年数と著しい相違がある等の不合理と認められる事情のない限り、当該残存耐用年数を経済的残存使用年数とみなすことができる(第 100 項参照)。
要するに、減損する時点で、「実際あとどれくらい使えるの?」を見積って、残りの年数を決めます。
ただし、今時点の残りの残存年数を「使える年数」としてもOKだよ、ってことです。
図にするとこうなります。
でも、実務上はどうなのさ?って話ですが、新日本監査法人の記事より引用。(2007年なのでだいぶ古い記事ではありますが・・・)
見直されないことが多いのかも・・・?
私見ですが、減損処理後の減価償却の実施に際しては、残存耐用年数は見直さず、残存価額をゼロに修正する場合が多いのではないかと考えています
けっこう古い記事ですが、実際のところ、どうなんだろうか。
減損後の残存価額は?
パターン①:見積りなおした正味売却価額をセット!
減損した後の残存価額がどうなるかについては、135項の通り。耐用年数がきたときの、割り引かない正味売却価額です。
残存価額は、耐用年数到来時において予想される当該資産の正味売却価額となるが、減価償却費の計算においては現在時点まで割り引かれないことに留意する
将来CFを計算するときに算出しているはずなので、それをそのまま使うイメージですね。
パターン②:以前の残存価額をそのまま使う!
115項にはこんな記載もありました。見直さずに、当初の残存価額をそのまま使ってOKというもの。
本適用指針では、将来時点における正味売却価額を算定するにあたって、さらに実務上の負担等に配慮して、資産の減価償却計算に用いられている税法規定等に基づく残存価額に重要性が乏しい場合には、当該残存価額を、当該資産の経済的残存使用年数経過時点における正味売却価額として用いることができるとしている(第 29 項また書き参照)。
パターン③:ゼロをセット!
しかし!!実務上は残存価額ゼロにするのでは?という意見もあります。
新日本監査法人の記事より引用。上でふれた記事と同じです。
私見ですが、減損処理後の減価償却の実施に際しては、残存耐用年数は見直さず、残存価額をゼロに修正する場合が多いのではないかと考えています
たしかによくよく考えてみれば、減損するというのは、店舗系の企業にて店舗の閉鎖をするときとかに多い気がするので、ゼロが実務上多いのかも。
まぁでも、残存価額が償却計算に影響を与えるのは、旧定額法・旧定率法なので、これからはどうでもよくなってくるんだろうなぁと思いますけど。考え方を知るのは大事ですよね。
最後に
減損は、よく金額が大きくてニュースにもなっていますね。
のれんの扱いとか、IFRSと日本基準で異なる点もあったりで、何かと話題にあがります。
減損について整理ができて、減さん損さんも大喜びです。
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減損の入門書読みました。ぜひどうぞ。
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